
「世界選手権に出場できることになったから是非寄付をお願いします」と全OBに手紙で寄付のお願いをしたところまではごく一般的な話しなわけですが、そこで彼らはこの世界選手権出場というプロジェクトだけに関する実況中継的報告ブログを立ち上げたのです。J/24は6人で船を操縦するチームレースですから報告する側は複数の人間で、それぞれがその立場に応じて、色んな場所から(もちろんイギリスの現地からも)、色んな時間に書き込みをして報告できるブログが威力を発揮します。そして彼らが報告したい相手は、ヨット部のOBだけでももちろん色んなところにたくさんいますし、それ以外にも大学関係者、あるいは彼らの本拠地である小網代のフリート関係者やJ24関東フリート関係者、さらには家族や友達なども含まれるかも知れません。かなり大勢の人達に対して、一斉にかつ随時リアルタイム的に報告が出来、受け手の側も頻繁な報告に煩わされるのではなくて、見たいときにじっくり見ることが出来る。しかも必要に応じてコメントを付けることで、応援やアドバイスなども可能となる。そして終わってみればプロジェクト全体の報告がとてもビビッドにしっかりとした形として残る。これ、全て、ブログの良さを活かしたとてもうまい使い方だと思った訳です。ブログといえば個人がメインで立って、その人の意見や情報が書き込まれていくことで出来上がっていく世界であると勝手に思いこんでいましたが、単に便利なコミュニケーション・ツールの一つだと思えば、こんな活用の仕方も十分「あり」なんですね。
で、彼らのレースの結果は結局参加55艇中40位だったそうです。日本の学生クルーザーチームとしてはまずまずの健闘といえるでしょう。そしてレースでの走りもともかくとして、メインセールにデカデカと書かれた巨大な漢字「東京大学」の文字がひときわ目立っていたようです。
話しは変わりますが、先週末、久し振りにForte(フォルテ)に乗って夢の島マリーナの月例レースに参加してきました。で、レースが終わった後、レースの反省など色んな話しをみんなでしながらハーバーに向かって帰る途中、チームの一人の人から「僕もレッシグ教授の本は3冊ほど持っていて読んだんですよ」と声をかけられてビックリ。彼とはそこそこ長い付き合いですが、いつもほとんどヨットの話ししかお互いにしていなかったので(因みに彼は仕事上もヨットの専門家です)、彼の口から突然アメリカの憲法学者の本の話が出てきて面食らってしまった訳です。当然のことながら、彼は、僕のこのブログでの前回の書き込みを読んでくれていたんですね。
人と人が話をするときには、色んな形でお互いの共通の興味・関心分野を探り出し、その分野の話題を中心にすることで円滑な会話を持続させていこうとするのが一般的なのではないかと思います。付き合いが少し長くなってくると徐々に色んな変化球なども投げてみたりして、「あ、この人とはこんな分野でもこういう会話が成立するんだ」ということに気が付いて、徐々にコミュニケーションの幅が広がってくるのだと思いますが、ともすると、「この人との間ではこういう分野の会話は成立しないに違いにない」と勝手に思い込み、コミュニケーションの幅を自ら限定してしまっていることもあるかも知れません。ブログは、そんなコミュニケーションの壁を取り払ってくれる一つのツールにもなりうるんだなと感じた次第です。
また全然話しは変わりますが、同じ先週末、何と26年間ほど会うことも連絡を取り合うこともなかった新潟の中学校の時の友達と、久々の再会を果たし、新宿で楽しく飲みました。その友達がこのブログを発見してコメントを書いてきてくれたのがきっかけでした。中学3年になるときに新潟から埼玉に転校してきた僕は、新潟の中学校や小学校のクラス会などに参加する機会もほとんどなく、かなりの友達と関係が切れてしまっている悲しい状態だったので、「ブログさまさま」という感じです。
で、そのとき彼が、実は僕からも事前にお願いをしていたのですが、新潟の中学校の卒業アルバムを持ってきてくれました。卒業する前に転校してしまったので、僕としては思い出がたくさんあるはずの中学校の卒業アルバムを持っていなかったんですね。いやあ、懐かしかった。「お、こんなヤツもいた」とか「この子可愛かったよなあ」とか、1ページ、1ページめくりながら盛り上がってしまいました。
というわけで、全く新しいブログというメディアの効用と、卒業アルバムなどというとても古くさいメディアの有り難さを同時に噛みしめた週末でありました。