2002年03月11日

幼児を感激させるのは何故容易か?

今日、東大の現役学生上田渉さんが中心となって昨年立ち上げられた「ACT」という、ベンチャービジネスの立ち上げや政策の立案実施過程などを実践的に経験しながら学んでいこうというサークル主催の講演会に参加して、東大経済学部の片平秀貴教授の「ブランド」をテーマとした講演を聞かせて頂きました。いろいろと面白いお話しを聞くことが出来たのですが、その中の一つが「幼児を感激させるのは何故容易か?」というお話しです。

エンタテイメントの世界のプロ達の並々ならない努力や非凡な才能を引き合いに出すまでもなく、人間を感激させるということはそうたやすいものではありません。でも、3歳や4歳の小さな子供を感激させるのは比較的容易です。雪というものを見たこともない子供を冬の雪山に連れて行きソリに乗せてあげたら、「うわーっ、すごい!」と感激してくれます。普段テレビでしか見たことのないガオレンジャーの実物が登場してくるショーに連れて行ってあげれば「おーっ、ガオシルバーだ!」と奇声を上げて喜んでくれる訳です。

このことについて片平先生は、「大人は幼児よりも感激の経験が豊富だから、幼児が経験したことのない感激のカードを次々に切ってあげることが比較的容易に出来る」からだと説明されました。これは、企業のマーケティングが年々難しくなっていっていることを説明する文脈で出てきたお話しです。昔は消費者が知らないようなNewを次々に提示していくことで消費者の興味を引くことが比較的容易に出来たが、昨今の消費者はあらゆるところで情報を入手し、様々な経験を豊かに積んできており、企業の経営サイドの方が消費者や顧客よりも体験が広いとは言えない場合が多くなってきていて、このために消費者の興味をぐっと引きつけるようなマーケティングを行うことが容易ではなくなってきているという訳です。

また、「自分が住んでみたい理想の家を絵に描いてみて下さい」と言って絵を描かせると、ほとんどの場合は、自分がこれまでに実際見たり入ったことのある家やテレビや雑誌などで見たことのある家をベースにしてしか書くことが出来ない場合が多いとか、「こういう人になりたい」というイメージを具体的に頭の中に描こうとしても、実際に自分が知っている人や、メディアを通じて知っている人、あるいは読んだことのある小説の登場人物など、自分の見聞きしたことのある範囲内のパターンでしかなかなかイメージ出来ないことが多いというような話しも出ました。

結局、経験が少なゥったり視野や活動範囲が狭い人間の頭の中の発想は、その限定的な経験に縛られてしまうという訳で、もっともっと意欲的に色々な経験を積んでいかないと、人生って(あるいはこの頭と肉体って)とっても勿体ないよなあ、と再認識した次第です。



続きがあります。この講演のちょうど2週間後、3月25日にiレボリューション・ネットワークと一新塾卒業生の有志とで主催した第2回iレボリューション・フォーラムでの杉山デジタルハリウッド校長のコメントにも、このお話しに近い言葉が出てきました。

それは、杉山先生がデジハリの学生の入学式などの時にお話しされることらしいのですが、「人間は、モノにしても音楽にしても映画にしてもあるいはヒトにしても、実際にそれと出会ってみないと自分はそれが好きなんだということに気付くことが出来ない。すなわち、いろんなモノやヒトに出会ってみないと自分は何が好きなのかすら発見することが出来ない。デジタルコミュニケーションのスキルを身に付けることは、こうした色々なヒトやモノとの出会いの機会を格段に広げてくれることになるので、これを勉強しない手はないよね」ということでした。

自分が本当に好きなモノがよく分からないということは、いろんなモノやヒトとの出会いをサボっているということの証拠なんでしょうね。反省、反省。
posted by Takao at 11:52| General